日本の株式市場が2023年6月は33年ぶりに株価が33,000円を回復し好調でした
市場が活気を取り戻すとこの流れに乗れ!とばかり、日本の株式購入を始めた方がたくさんおられたようです
理想は、市場が見向きもされないほど低迷しているときに、良い投資先を丁寧に見つけて仕込んでおくことです。
今回は株投資の初心者の方に多い「高値掴み」について考察します
高値掴みの心理の背景
高値掴みを減らすための解決法
すべての失敗から学びはあります
2023年7月中旬から市場に下落の陰りも見えてきました。今回の上昇局面の経験を次へと繋がるように活かしましょう
高値掴み(たかねつかみ)とは
高値掴みとは
相場がまだ上がると思って買ったところ、その直後に下がり、結果的に高い値段で買ってしまうこと
goo辞書
2023年6月の相場で、急に株価が上昇し市場が大変盛り上がりました。
株価の上昇がずっと続くと思い、株価のチャートを眺めながら、ここで購入しないと更に株価が上昇してしまうかもしれないという焦りもあり、悩んだ末に購入。購入後、その株価は上昇せず下降していく
でも今後も株価が上昇し続けるという根拠はどこにもないよ
まさにこれが高値掴み
こんな状況が多かったのではないのでしょうか
高値掴みは初心者のやりがちなミスです
高値掴みをしてしまう初心者が陥りやすい心理的背景
- 株価の上昇が更に続くという期待
- 多くの人が”リアルタイムで”同じ株を買っているという安心感
- 株価下落で、罪悪感と帳消し?!やってはいけない株価の平均価格を下げようとする行為
1.株価の上昇が更に続くという期待
高値掴みをする心の背景としては、株価の上昇がこれからも更に続くという期待が強いです
今度こそ買わないと高価になって買えなくなるかもしれないといった焦りから、悩んだ末、気合で購入してしまう
乗り遅れたくないとか、儲け損ねたくないといった感情はバンドワゴン効果という心理現象です。
バンドワゴン効果とは
世間や多くの人が支持しているものを根拠なく良いものと思い込んでしまう心理
昨日まで株価が上昇していたからと言って、今日も、明日も上昇しないのが株式の世界です。淡い期待は禁物です。
2.多くの人が”リアルタイムで”同じ株を買っているという安心感
株価が刻一刻と上昇していくのは、多くの人が”その”株を購入しているからです。
みんな同じ株を買っているから、自分も買おうという現象でハーディング現象(群集心理)と言います。
ハーディング現象(群集心理)とは
周りの人と同じ行動をすることで安心感を得ようとする心理
合理的に考えて決断して行動するよりも、周りの人と合わせていれば、間違いないし責任を取らなくてもいいという安易な選択をする傾向があります。
心のどこかではずっと株価が上昇し続けることはないと分かっていても同調してしまいがちです。
ハーディング効果の余談ですが
人は仲間はずれが嫌いです。その為人と違う行動をとることを嫌います。「集団から外れたくない」という強い気持ちから、集団の中で明らかに間違った行動をとっている人がいても、指摘せずその集団に従う傾向があります。非合理な行動と分かっていても自分だけ集団の意に反して行動するのはとても難しいです。そして集団は非合理な方向へと突き進みます。
この人間古来の呪縛から逃れるには、自分の中で確固たる理由付けを持つことが必要です。
3.株価下落で、罪悪感と帳消し?!やってはいけない株価の平均価格を下げようとする行為
株価下落で初心者が起こしがちな行動がナンピン(難平)です。
ナンピンとは
株価が下落した場合、同じ株を買い足して一株当たりの平均価格を下げる行為
下落した株価の損失を売却して確定することができない時に起こります。更に株価を買い増せば、持っている株価の1株当たりの平均値が下がると計算して株を買い増します。
その心理の背景には、今度株価が高くなった時に売れば損失を出さなくて済むという罪悪感をなくそうとする行動です。
ではナンピンとは何か。具体的な数字を入れて見てみよう
数字が苦手な時は、文字のみ読んでね
単価 | 購入数 | 購入額 | 1株当たりの株価 | |
初回購入時 | 100円 | 1000株 | 100,000円 | |
ナンピン時 | 80円 | 1000株 | 80,000円 | |
合計 | 2000株 | 180,000円 | 90円 |
上の表は、株価が下落したときに買い増して1株当たりの平均を下げようとナンピンをした時の計算書です。ナンピンにより、1株当たりの株価が90円と下がりました。
気分的には、ナンピン時の株価にせまり罪悪感が減ります。
減ったのは罪悪感だけ…
平均単価は下がるけど、更なる資金投入だよね
問題点を整理してみよう
- 根拠のないナンピンで、追加投資を行い他の有望な株を購入する機会を失った
- このまま株価が下落すれば、更に売れず株が塩漬けになる可能性がある
ナンピンしない場合
単価 | 持ち株数 | 金額 | 損益 | |
初回購入のみ | 100円 | 1000株 | 100,000円 | |
株価上昇時 | 150円 | 1000株 | 150,000円 | +50,000円 |
株価下落時 | 50円 | 1000株 | 50,000円 | -50,000円 |
ナンピンしなければ、追加の資金投入をして資金を無駄に出すこともありません。また、時期を見極めてプラスになるか、マイナスになるかを自分で決めれば良いです。
上昇時
ナンピン時の90円から150円に回復すれば、12万円のプラスです。つまりハイリターン
単価 | 持ち株数 | 金額 | 損益 | |
ナンピン時 | 90円 | 2000株 | 180,000円 | |
株価上昇時 | 150円 | 2000株 | 300,000円 | +120,000円 |
下落時
ナンピン時の90円から50円に下落すれば、8万円のマイナスです。つまりハイリスク
単価 | 持ち株数 | 金額 | 損益 | |
ナンピン時 | 90円 | 2000株 | 180,000円 | |
株価下落時 | 50円 | 2000株 | 100,000円 | -80,000円 |
下落時は、損失が大きいため、この持ち株自体が塩漬けになり、何年も寝かし続ける可能性があります。
別の有望な株に投資する機会を失っていると考えると、大きな損失です。
購入前にプラスの時、マイナスの時と自分なりのシナリオを用意しておきたいね
投資の基本に立ち返ろう
何度でも言います 投資の基本は「株価は低い価格で買う」
株を買うときは、その企業の財務諸表や分析ツールを見て、企業のIR情報も参考にします。この企業なら自分の資産として持っていたいとそう思うまで様々な企業の分析を繰り返しましょう。
そして、投資したい企業と判断したらなら、やっぱりお得な時に株を購入したいと思うのが人情ですね。
株価が落ちてきたところを狙って、しっかり拾っていこう
株もご縁です
何事も小さく始めよう まずは1株だけ購入してみる
最初から大きな金額を投入してしまうよりも、まず1株だけお試し買いをしましょう
1株なら、何千円単位のものが多く、損失があった場合も許容範囲内でできます。
何事も小さく始めてみる
小さくても大きな経験になることもあります
机上の空論よりも、実際にお金を出して体験してみる方が学びも深く早い
SBI証券ならば、S株というサービスがあります。購入価格は成行での購入ですが手数料は無料です。
S株でお金では買えない投資経験値を積んできましょう。
高値掴みの経験から学ぶ投資の心構え
投資は、自分で考えて、自分で理解して、自分の出した根拠に基づいて行動することが基本です。
自分の行動は、最後には自分で責任を取るしかありません。出た損失は自己責任になります。
まとめ
初心者に起こりがちな、高値掴みについて解説しました。
初心者が陥りがちな心理的な背景があります。一方で、高値掴みは初心者がやりがちなミスですから、自分の感情を理解することで回避可能です
- 株価は更に上昇すると期待しない
- みんなが買っているからと言って同調して買わない
- 財務諸表や数字の根拠や理由なく買わないし、買い増しもしない
- 気になるなら1株だけ購入してみる
高い時に買うなというのは簡単ですが、やっぱり購入してみたいというのも人情です。
まず1株買って、その後の株価の成行きを見て、研究してより良い時を見極められる目を養いましょう。
失敗しても学びがあります。投資経験を積んでいきましょう!